肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌の記事を書いたのですが、削除してしまったようですので再度書きます。

2024年4月から、これまでの13価肺炎球菌ワクチンであるプレベナー13(PCV13)に加えて、バクニュバンス(PCV15)という別のメーカーの15価の肺炎ワクチンが定期接種で使えるようになりました。
PCV13は肺炎球菌の13種類の血清型(1、3,4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、23F)を含みますし、PCV15はPCV13の13種類の血清型と22F、33Fという15種類の血清型を含みます。
PCV13とPCV15には、含まれる血清型の種類以外に少し違いがあります。
肺炎球菌の定期接種は生後2か月以上で4歳以下が対象ですが、最も大きな違いは、PCV13が5歳以下が適応なのに対して、PCV15は17歳以下での適応があります。
なので、これまでに肺炎球菌ワクチンを接種していない方、あるいは小さい頃に肺炎球菌ワクチンの十分な回数の接種がない方で、5歳ならPCV13とPCV15の両方、6歳以上ならPCV15を自費で接種(一回)することが可能です。
その他の違いとして、定期接種ではPCV13からPCV15に変更(乗り換え)することが可能で実際に抗体が十分できるかどうかが検証されていますが、その逆は不可能(検証されていない)です。
細かな違いとしては、製造方法はほぼ同じなのですが、PCV13とPCV15に共通に含まれる13種類の各血清型の量が、PCV15の方が約9%(11分の1)少ないので、生産される抗体量や十分量の抗体濃度を満たす割合が、PCV15の方がわずかに少ないのですが統計学的な有意差がなく、それに対してPCV13には含まれていなくてPCV15に含まれる血清型22Fと33Fに関しては、生産される抗体量は圧倒的にPCV15の方が多いことが分かっています。
そのような事情で、当院は今後はPCV15を肺炎球菌のワクチンとして使っていくことにしました。
PCV13は、PCV20(PCV15の血清型+8、10A、11A、12F、15B)という20価の肺炎球菌に入れ替わる予定で、cv20はすでに製造承認が得られており、PCV13が近いうちに生産されなくなる見込みだということもあります。
PCV20が肺炎球菌ワクチンの定期接種で使えるようになりには、まだ少し時間がかかります。
PCV20が定期接種として使えるようになれば、また事情は変わると思います。
アメリカでは現在肺炎球菌ワクチンとして使えるものはPCV15とPCV20です。

2024年9月4日